MRIの検査結果を確認するドクター

女性なら誰しも経験する月経痛。我慢するのは当たり前と思っていませんか?しかし、それは子宮内膜症の痛みかも知れません。

鎮痛剤でしのいでいるうちに、症状は悪化していく可能性もあります。そこで今回は子宮内膜症の原因や特徴的な症状、治療法について解説します。






子宮内膜症の痛みの4大原因!5つの症状とは


1)子宮内膜症とはどんな病気か

本来、子宮の内側にしかないはずの子宮内膜が、体の様々な場所で発生し、そこで増殖・剥離を繰り返す病気です。

主には、腹膜や卵巣など骨盤内で発生するケースが多いのですが、稀に肺などの遠く離れた臓器に出来る場合もあります。

子宮の内側からはがれた子宮内膜は、月経血として体外に排出されますが、その他の場所で増殖した子宮内膜は腹腔内にとどまり、炎症や痛み、癒着を引き起こします。

子宮内膜症は、月経が始まってから年数がたつほど増加し、現在のところ閉経するまで完治することはありません。

2)子宮内膜症の痛みの5つの代表的症状

(1)月経痛

子宮内膜症患者の自覚症状として、7割の人が1週間以上続く月経痛を経験していると言われており、この疾患の最も代表的な症状です。

只、痛みの感じ方には個人差があり、客観的な評価が困難です。しかし、子宮内膜症の特徴的な症状は、月経が繰り返されるたびにだんだんひどくなる月経痛です。

鎮痛剤を使う回数が増えてきたり、鎮痛剤が効かなくなってきた、という場合は子宮内膜症を疑いましょう。

(2)月経時以外の下腹部痛

月経痛の次に多く、月経が終わって排卵に向かっていく間も痛かったり、月経が始まる数日前から痛くなったりします。

(3)腰痛

下腹部の重い痛みに腰痛を伴うことがあります。腰痛は癒着に関係していると言われています。

(4)性交痛

子宮後壁やダグラス窩(子宮と直腸の間のくぼみ)周辺の子宮内膜が癒着して内膜症が進むと性交痛がひどくなると言われ、子宮内膜症に特徴的な症状の一つです。

(5)排便通

性交痛同様、子宮内膜症に特徴的な痛みで、子宮の周りで炎症や癒着がある場合、排便時に腹圧が高まることで痛みを感じます。

3)子宮内膜症の痛みの4大原因

痛みの原因は様々あって、そのメカニズムは完全には解明されていません。しかし、以下のような原因で痛みが発生していると思われます。

(1) 病変が周囲の組織、神経を損傷して痛みを引き起こす。

(2) 病変が年月とともに硬くなり、その箇所が腸のぜん動運動や性交時の動きで引っ張られて痛む。

(3) 平滑筋を収縮させるプロスタグランジンの分泌が増えていて、子宮やその他の内臓(すべてが平滑筋)の収縮が強まり、痛みを生じる。

(4) 臓器が癒着することで引っ張られて痛む。

Smiling cardiologist talking to the patient

4)子宮内膜症の痛みが続く場合にすべき5つの検査方法

子宮内膜症は時間の経過とともに進行していく病気ですので、早めの診断、治療が重要になります。

思い当たる症状があれば、出来るだけ早めに「産婦人科」または「婦人科」を受診しましょう。子宮内膜症の検査には以下のものがあります。

(1) 問診

大抵の病院では最初に問診票を記入し、医師がそれを見ながら状況を確認していきます。

医師から尋ねられる内容は、月経痛の始まった時期、痛みが強まっているかどうか、鎮痛剤の内服の有無と服用している場合の回数と量、月経の量、期間などですので、問診前に答えを整理しておくとよいでしょう。

(2) 内診

医師が手術用のグローブをして、膣から指を挿入し、指を入れていない方の手でお腹を押さえて子宮や卵巣の位置や大きさ、また癒着があるかどうかの判断をします。

必要な場合は、肛門から指を挿入する直腸診が行なわれることもあります。男性医師の内診に抵抗がある方は事前に受付で相談してみましょう。

(3) 超音波検査(エコー)

子宮内膜症の疑いがある場合、超音波検査を行うことがあります。

超音波検査には「腹部超音波法」と「経腟超音波法」があり、後者は前者より鮮明な画像診断を受けることができますが、場所によっては検査がしにくくなるという難点もあります。

(4) MRIまたはCT

それまでの検査ではっきりとわからない場合は、MRIまたはCT検査を行うことがあります。基本的にはMRIの方が有効ですが、がんとの区別をつけた方がいい場合はCTも必要となります。

また、MRIは20分程機械の中で動けない状態が続きますので、苦痛を感じる方もあるかもしれません。只、CTのような被ばくのリスクはありません。

(5) 腹腔鏡検査

確定診断のためには、腹腔鏡検査が必要です。これは腹腔鏡という内視鏡をおへその下から挿入し、骨盤内部を観察して直接診断する方法で、最も信頼できる方法です。

しかし、全身麻酔で行うおおがかりなものなので、治療を兼ねて行われるのが一般的です。

5)子宮内膜症の痛みが続く場合にすべき2つの治療方法

子宮内膜症の治療には手術療法と薬物療法があります。治療法の選択は、本人のライフスタイルと大きくかかわってきますので、医師と十分に相談して決めるのがよいでしょう。

(1) 手術療法

手術療法には前述の腹腔鏡を使った手術と開腹手術があり、腹腔鏡手術はお腹を大きく切開する開腹手術に比べてキズも小さく、術後の癒着も少ないなど、患者にとっては負担の少ない方法です。

入院期間も数日から1週間程度です。

超音波検査で、5cm以上の卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)が見つかった場合は、破裂の危険性があるので、早めに手術を受けたほうがよいでしょう。

また、妊娠を希望していても妊娠せず、不妊の検査を行っても原因が他にみつからない場合は、子宮内膜症の影響が疑われますので、腹腔鏡手術が勧められます。

子宮内膜症は再発を繰り返す病気です。腹腔鏡手術を受けたあとは、再発する前になるべく早く妊娠できるよう計画的に治療を行います。

(2) 薬物療法

薬物療法には対症療法と内分泌療法があります。当分は妊娠の予定がないけれども、将来的な可能性を残したいような場合には、鎮痛剤で対症療法を行うこともあります。

子宮内膜症で処方される鎮痛剤は、痛みの原因となるプロスタグランジンの分泌を抑える薬です。早めに服用した方が効果がたかいので、月経開始前から服用しましょう。

内分泌療法には、GnRHアナログ療法、ダナゾール療法、偽妊娠療法、黄体ホルモン療法があります。

GnRHアナログ療法、ダナゾール療法では月経を止めるため、それに伴う副作用があります。

また、一定期間しか続けられないので、治療中は月経痛や病気の進行は止まりますが、治療を中止すると再び子宮内膜症が進行する可能性はあります。

偽妊娠療法では、低用量ピルが避妊の薬として発売されてからは、ホルモン量が少なく副作用が少ないため、主として使われるようになっています。

排卵と子宮内膜の増殖を抑えるので、月経量が減って月経痛が軽減されます。黄体ホルモン製剤は服用中に不正出血が起こりがちですが、副作用は少なく、長期間の使用が可能です。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

6)子宮内膜症の痛みへ日常からできる予防ポイント

子宮内膜症が発生する原因は、はっきりとわかっていません。現在言われている仮説は以下の2つです。

(1)子宮内膜移植説

本来、月経血は膣を通って体外に排出されますが、この血液が卵管の方に逆流してお腹の中に出てしまって、炎症や癒着を起こすというものです。

(2)体腔上皮化生説

腹膜が、エストロゲンや月経血の刺激を受けて子宮内膜に変化し、子宮内膜症になるというものです。

原因がはっきりしていないため、予防するのは難しいのが現状です。

只、はっきりしていることは、子宮内膜症の発症は月経の回数が多ければ多い程起こりやすいということです。

一昔前のように女性が若くして結婚し、何人も子供を産む時代にあっては、妊娠している(生理が無い)期間が長かったため、子宮内膜症は少ない病気でした。

ところが現在では、女性の晩婚化や少子化で、女性が一生の間に生理を経験している期間が長くなり、子宮内膜症になる機会も大きく増えているのです。

女性の生き方の選択肢が増えるのはよいことですが、それに伴って子宮内膜症のような病気のリスクも増えるということも考え併せて、より良い選択をしていくことが大切ですね。






今回のまとめ

1) 子宮内膜症は子宮内にとどまらない不思議な病気で、発症すると閉経までつきあわなくてはなりません。

2) 子宮内膜症の痛みはだんだん強くなることが特徴です。

3) 子宮内膜症の痛みの原因はいくつか言われていますが、完全に解明されていません。

4) 子宮内膜症の検査に抵抗がある人も多いですが、放置すれば悪化するだけなので、勇気を出して早めに検査をうけましょう。

5) 子宮内膜症の治療は本人のライフスタイルと大きく関わってきます。医師とよく相談して、自分にあった治療法を選択しましょう。

6) 子宮内膜症の原因はまだわかっていないので、予防法はありません。なりやすさは生理の回数に依存するので、それを考慮して自分の生き方を考えましょう。

以上が今回の記事の内容となります。生理痛がひどい方はがまんしないで、早めに医療機関を受診しましょう。