受精の患者に説明を行うドクター

「卵巣嚢腫(のうしゅ)」という病名をご存知でしょうか。妊娠するために不可欠な卵巣はもっとも腫瘍のできやすい臓器といわれます。妊娠と関わる病気なだけに気になる女性は多いですよね。今回は、その原因と症状、治療法、不妊との関係性についてご紹介します。






卵巣嚢腫の3大症状を解説!初期・中期・後期の変化とは


1)卵巣嚢腫とは何か?4つの種類と特徴の違い

卵巣のう腫は、中身によって次の4種類に分けられます。これらの9割以上は良性であるといわれています。

(1)漿液性嚢胞(しょうえきせい・のうほう)

卵巣内にさらっとした水のような液体(漿液)がたまる腫瘍です。思春期以降年齢問わず最も多いタイプです。

(2)粘液性嚢胞(ねんえきせい・のうほう)

卵巣内にどろっとした粘り気のある液体(閉経後の女性のゼラチン状の粘液)がたまり、肥大してかなり大きくなります。

(3)成熟奇形腫(皮様のう腫)

20代~30代の女性の胚細胞にできるもので、歯や毛質などの組織が含まれたドロドロとした物質がたまります。両方の卵巣にたまることもあります。

(4)チョコレート嚢腫

20代~30代の女性に多く、子宮内膜症が卵巣内に発症したものです。月経のたびに出血した古い血液がたまり嚢腫が作られます。

2)卵巣嚢腫の初期症状

卵巣嚢腫の症状として、初期段階では基本的に自覚症状がほとんどありません。

腫瘍が小さい場合は、特に目立った症状はでない事の方が多いです。正常な大きさが2~3cmなので多少腫れてもスペースに影響を与えにくく、宮の両側にハンモックにつるされるような形で位置しているため、痛みや圧迫症状はほとんどありません。

3)卵巣嚢腫の中期症状!2つのチェック項目

腫瘍が大きくなった際にはいくつかの症状がでてきます。

(1)体外の症状

進行し嚢腫が拡大してくると、ウエストが太っていないのにスカートやズボンが入らなくなったり、外側から触って気づくことができます。こぶし大程度まで拡大しないと症状が確認できず、発見が遅れやすい傾向にあります。

(2)体内の症状

腹痛や腰痛、頻尿、下痢、便秘、性器出血などが生じます。一般的に、左右どちらかの下腹部痛です。直径5cm~7cmになると、「茎捻転(けいねんてん)」とよばれ、卵巣腫瘍がねじれて血流が滞るチクチクとした痛みを引き起こします。

Doctors and nurses are looking at the screen of a personal computer

4)卵巣嚢腫の後期症状

腫瘍が小さい場合には手術はせず、腫瘍の大きさを経過観察する事がほとんどです。

腫瘍が破裂したりねじれてしまう事で、卵巣の血管が押しつぶされ、血液が流れなくなり、卵巣と腫瘍の両方が壊死してしまう事で「激痛」が伴います。手術が必要になります。腹痛ではない「痛み」が続く場合や悪化する場合は必ず医師に診てもらいましょう。

5)卵巣嚢腫の考えられる2つの原因とは?

卵巣腫瘍は非常に原因が多く、その発生原因も多岐に渡ります。主な原因には「ストレス」や「冷え」が関係しています。

(1)ストレス

急に大きなストレスを受けたり、日々のストレスをため込んでしまうと、呼吸、心拍数、血圧、体温などの「自律神経系」、ホルモンの分泌を司る「内分泌系」、外部からの異物侵入をまもる「免疫系」などの働きを壊します。これにより最初に影響がでてくるのが、もっとも体の中の脆弱な部分で、女性の子宮や卵巣になります。

(2)冷え

冷えは「全身の血液の循環不良」によって起こります。細胞に酸素や栄養を供給したり、老廃物を循環させるのが難しくなるため、血液が滞りやすい骨盤内にある子宮や卵巣にとって、冷えは致命的な問題になります。

6)専門家での検査を!卵巣嚢腫への3つの検査方法とは

病院によって診察方法は異なりますが、内診と超音波による検査を行い、これらを通じて腫瘍があると判断された場合にはこれから紹介する検査方法でより詳細な状態を確認していきます。

(1)CT検査

レントゲンで卵巣の様子を確認し、卵巣の悪性の可能性や移転しているかを調べる事ができます。胎児に悪影響を与えてしまう可能性があるため、妊婦さんには適用できない検査方法になります。

(2)MRI検査

磁気を使用して卵巣や周囲の状態を確認する方法です。妊婦さんにも適用でき、卵巣の癒着や、悪性・良性を判断するには良いといわれています。

(3)腫瘍マーカーの検査

血液調査によって卵巣腫瘍の可能性を調べる方法ですが、確実性は上記の二つには劣ります。

Stethoscope in hands

7)病院で行われる治療方法とは

卵巣嚢腫は腫瘍の摘出手術を行います。卵巣を摘出したとしても、妊娠できなくなるわけではありません。卵巣は2つあるので、もう一方の卵巣が機能していれば妊娠は可能です。

(1)10cm以内の腫瘍の場合

腫瘍のサイズが10cm以内の場合はおへその近くに穴を開け内視鏡を中に入れる「腹腔鏡下手術」を行います。手術時間が2~3時間程度で、手術後の傷も小さく済むため入院期間は1週間程度になります。

(2)10cm以上の腫瘍の場合

サイズがそれ以上になると開腹による腫瘍切除手術が必要になります。手術時間は3時間程度で入院期間は10日間~2週間程度といわれています。

8)日常生活から改善!予防するための2つの生活習慣

ここでは、良い生活習慣による簡単な日常的な予防を紹介します。

(1)ストレスをためない

ヨガやウォーキングなど毎日適度な運動や、お風呂に入ってリラックスするなど休息をしっかりとるようにします。友達と食事に行ったりお笑い番組をみたりして、よく笑う事もストレス解消には良いといわれています。

(2)体を冷やさない

生姜、唐辛子、にんじん、鮭、レンコンなど体を温める効果のある食べ物を摂取することや、半身浴や足湯で体を温めることで卵巣や子宮の血流を活発にしておくと良いでしょう。

卵巣嚢腫はなかなか症状が現れず、発見しにくい病気です。普段から良い生活習慣を心がけ、完全に予防するための早期発見として、年に1回の婦人科に検診に行く事をおすすめします。






今回のまとめ

1)卵巣嚢腫とは何か?4つの種類と特徴の違い

2)卵巣嚢腫の初期症状

3)卵巣嚢腫の中期症状!2つのチェック項目

4)卵巣嚢腫の後期症状

5)卵巣嚢腫の考えられる2つの原因とは?

6)専門家での検査を!卵巣嚢腫への3つの検査方法とは

7)病院で行われる治療方法とは

8)日常生活から改善!予防するための2つの生活習慣