頻繁にお腹が痛くなる、また下痢だと、いつもお腹の不調に悩まされるのは辛いものです。特に、通勤途中で下痢によるお腹の痛みは勘弁してもらいたいですね。
なぜお腹が痛くなって、下痢が起こるのでしょうか。今回はお腹が痛い原因や下痢との関係、その対策法をご紹介します。
目次
お腹が痛い!下痢の3大原因と4つの対処法とは
1)お腹が痛い2つの種類
腹痛には大きくわけて2つの種類があります。
(1) 内臓痛
鈍い痛みが起こります。内臓神経(自立神経)を介して感じる腹痛です。消化管の収縮や拡張、痙攣などで起こる痛みで、ここが痛む場所は、明確にはわかりません。
たとえば、下痢による痛みは内臓痛に分類されます。原因は管腔臓器(消化管や血管など)の内圧が上がることで起こるのです。
(2) 体性痛
刺すような鋭い痛みが特徴です。内臓痛より、痛みの場所がはっきりわかります。
内臓をとりまく腹痛や腸間膜(腸と腸の間にある膜)、横隔膜に分布している知覚神経が刺激されると起こる腹痛です。
たとえば、盲腸のように最初は胃の辺りが痛くなりますが、最終的には刺すような痛みが虫垂周辺に起こります。
2)お腹が痛い!下痢の9つの初期・中期・後期症状
(1)初期症状
細菌などに感染すると潜伏期間がありますが、なんとなく以下の症状があったら注意してください。何に感染したかにもよりますが、潜伏期間は数時間から数日のものまで様々です。
・吐き気がする。
・お腹が痛い
・熱っぽい
(2)中期症状
潜伏期間を経て、症状がではじめます。ここで菌やウイルスを体から出さなければならないので、数日~1週間はこの状態が続きます。
・熱が38度以上でてきた
・ひどい下痢
・嘔吐がある
(3)後期症状
症状が良くなってきたらとにかく安静にしましょう。
・微熱になってくる
・便が柔らかくなる
・嘔吐が少なくなる
3)お腹が痛い!下痢の3大原因
(1)食あたり・水あたり・食物アレルギー
食あたりなどで細菌に感染したときや、小麦、魚介などによる食物アレルギーの影響で腸粘膜に障害を起こすと腸管内の分泌液が過剰になってしまいます。
その結果、下痢を引き起こします。
(2)浸透圧をあげる物質の摂取
腸の外から水分を取り込もうとする(浸透圧)成分があると、腸が水分をうまく吸収できなくて下痢を起こします。
下剤やサプリメント、キシリトールやソルビトールを含む食品などが原因となることがあります。
(3)ストレス・暴飲暴食・冷えなど
ストレスや暴飲暴食、体を冷やしてしまったりすると、自律神経のバランスが崩れて、腸の働きが過剰になります。
便の通過スピードが速くなってしまい、水分の吸収が不十分になって下痢になります。このとき腹痛が起こるのが特徴です。
4)お腹が痛い!下痢が続く場合に考えられる4つの病気
数日~2週間程度で治る下痢なら、たいていは感染性のものなので特に治療は必要ありませんが、それ以上続くのは異常です。
下痢が続くときに考えられる病気をご紹介します。
(1)過敏性腸症候群
腸の検査や血液検査では異常が認められないが、腹痛があり便秘や下痢が長く続く病気です。
異常を引き起こす原因はまだ明らかではありませんが、ストレスが症状を悪化させる要因となっているようです。
(2)潰瘍性大腸炎
持続性の粘膜便、血便が主な症状です。下痢、腹痛、発熱、嘔吐、体重減少などがみられます。
原因は免疫システムの異常です。自分の腸管粘膜を攻撃してしまう病気になります。
(3)クローン病
クローン病は小腸や大腸に潰瘍があり、腹痛、下痢、血便などがみられる病気です。原因は不明で、消化管すべてに炎症が起こる可能性があります。
(4)食物アレルギー
下痢が続いて体重が増えないなどの症状があるときは、食物アレルギーの可能性があります。
5)下痢への自宅でもできる4つの対処方法
下痢をしている状態は、できるだけお腹をいたわってあげましょう。
(1)水分補給
下痢をしているときは、水分も一緒に排泄されているので、脱水症状を起こす可能性があります。常温の水やスポーツドリンクなどをこまめに補給しましょう。
(2)消化に良いものを食べる
急性下痢のときは、お粥やうどん、スープなど消化に良い食事をとるようにしましょう。慢性下痢の場合は、やわらかいご飯やうどん、煮物、豆腐や白身魚など胃腸への負担が軽いものにしましょう。
急性下痢でも慢性下痢でも、肉類や揚げ物、ケーキやお菓子、生野菜などは、胃腸への負担が大きいのでさけてください。
(3)下痢止めを使う
食べ過ぎや飲みすぎなど原因が分かっている場合は、ひどい下痢を止めるために一時的に使いましょう。ただし、ウイルスや細菌に感染した下痢の場合は、下痢止めは使わないようにしてください。
これらの感染症からの回復は、下痢をすることで、ウイルスや細菌を体内から早く外に出すことです。
(4)体を温める
体が冷えることも、腸の活動が弱る原因なので、冷やさないようにしましょう。
6)下痢の症状への摂取すべき食材
下痢のときは、お腹に負担をかけないですむ、消化に良いものを食べるようにしましょう。摂取すべき食材と食べ方をご紹介します。
(1)穀類
おかゆや柔らかいご飯、よく煮たうどんなどは消化がよくお勧めです。低血糖にならないための糖質を補給することができます。
ただし、玄米ご飯、コーンや麺類でもラーメンは消化があまり良くないので控えましょう。
(2)野菜
キャベツやニンジンなどをスープなどにして飲むのがお勧めです。ニンジンは整腸作用のあるぺクチンを含んでいます。
ごぼうやキノコなど食物繊維の多いのもは下痢のときには控えましょう。
(3)果物
バナナやリンゴは消化に良いのでお勧めです。バナナはオリゴ糖が含まれるので、腸内環境を整える働きをします。
バナナは柔らかめのものが消化に良く、リンゴは固形よりはミキサーなどで細かくして食べると良いでしょう。
(4)豆類
大豆製品はタンパク質が豊富で栄養価が高い食品です。
下痢を起こしているときは脂っこい肉類を食べない方がいいので、豆腐などの大豆製品で栄養を取りましょう。
豆腐は味噌汁に入れるなどするとお腹に負担の少ない食事となります。
7)お腹が痛い!下痢が続く場合に考えられる3つの検査方法
下痢が、2週間以上続いたり、突然ひどい下痢になってしまったときは、がまんせず「消化器内科」へ行きましょう。
通常は、問診、触診が行われ、必要があれば各検査項目が決まります。下痢になったときの検査法をご紹介します。
(1)血液検査
ウイルスや細菌に感染した場合は、血液検査で炎症反応がみられます。費用は3割負担で、2,000~3,000円くらいのようです。
検査項目によりますが、すぐ結果が出る場合から、結果がでるまでに数日、1~2週間かかる場合と色々なようです。
(2)X線検査
大腸に造影剤を注入して、X線撮影をして調べる検査です。大腸がんの早期発見に有効な手段です。
検査費用は8,000~10,000円くらいです。検査当日の3日前から食べるものの制限など準備がいるので、詳しくは医療機関に相談しましょう。
検査時間自体は15~20分程度です。
(3)内視鏡検査
下部消化管内視鏡検査といい、腸の内視鏡は肛門かカメラを入れていきます。
胃カメラは前もって食事をとらないといった準備が必要ですが、腸のカメラは下剤を飲んだり、胃カメラに比べたら準備が少々面倒です。
大腸がんや腸やポリープ、炎症を起こしていれば、やや面倒な検査ではありますが大変有効な検査手段です。日帰りで検査できますので、医療機関に相談してみましょう。
検査費用は、組織検査を含まなければ3割負担で8,000~10,000円くらい。組織検査を含むと、3割負担で10,000~16,000円くらいのようです。
8)お腹が痛い!下痢が続く場合に考えれる4つの治療方法
(1)薬物療法
細菌の感染であれば、抗菌薬が処方されます。ただし、ウイルスによる胃腸炎には有効な抗菌薬はないので、適応できません。
ビオフェルミンなどの整腸剤も腸内環境を整えるために有効です。
(2)食事療法
感染症ではない下痢でしたら、冷たいものをとらない、アルコールをひかえる、消化に良いものを食べるなどの食生活の改善で大体は良くなります。
(3)診療内科でのカウンセリング
検査結果では異常がみられないものの、下痢の症状がある場合、ストレスが原因となっていることがあります。
内科的な治療と精神科や心療内科でのカウンセリングを併用して行うことがあります。
(4) 手術
ポリープなど切除できるものであれば、内視鏡的除去が可能です。
9)下痢を日常から予防する3つのポイント
(1)食生活
日常から暴飲暴食はさけましょう。バランスの良い食生活をこころがけましょう。
(2)睡眠を十分にとる
睡眠時間を十分にとり、規則正しい生活を送りましょう。
(3)ストレスをためない
運動など、自分にあったストレス解消法を見つけましょう。1日のうちに精神的にゆとりのある時間をつくりましょう。
今回のまとめ
1)下痢には、鈍い痛みの内臓痛と鋭い痛みの体性痛があります。
2)下痢の原因は、ウイルスや細菌の感染症、ストレスなどがあります。
3)下痢の時は消化に良い食事をとりましょう。
4)下痢が続くときは、はやめに消化器内科を受診しましょう。
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