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ストレスの多い日本社会では、4人に1人がみぞおちに痛みを抱えているという。代表的な原因として、ストレスによる急性胃炎によるものですが、みぞおちの部分の痛みはみぞおち付近にある臓器の病気から起こります。

今回はみぞおちの痛みの原因や対処法をお伝えします。






みぞおちの痛みの5大原因!病気の可能性とは


1)みぞおちの痛みの5つの代表的症状

(1)突然、吐き気、嘔吐、吐血、腹痛、下血を伴う、差し込むような痛みが起こる

(2)空腹時や食後に起こり、慢性的にシクシクするような痛みが起こる 

(3)鈍い痛みが激痛へ変化する

(4)激痛がみられ、発熱や黄疸などがみられる

(5)鈍い痛みに加え、黄疸を伴う

2)みぞおちの痛みの5大原因

(1)ストレスや環境による自律神経の乱れ

自律神経は相反する交感神経と副交感神経から成り立っていますが、ストレスが過剰になると交感神経ばかりが働くため、自律神経が乱れてしまうのです。

(2)刺激物を食べ過ぎ・飲み過ぎ

胃酸の分泌量が促進され十二指腸に負担がかかってしまうことが原因で、胸焼けや痛みを感じてしまうのです。

(3)細菌性の感染

インフルエンザのようなウィルス性やピロリ菌などの細菌性の感染も考えられます。ウィルスやピロリ菌が出す毒素で胃壁が傷つき、みぞおちに痛みが発生します。

(4)食物アレルギー

体質に合わない食物を食べることによってアレルギー反応が起こり、胃が痙攣するため、痛みが発生してしまうのです。

(5)薬による副作用

抗炎症性鎮痛薬、抗生物質、ステロイドなどの副作用で胃壁が荒らされ、痛みが発生してしまうのです。

3)みぞおちの痛みで考えられる4つの病気

(1)急性胃炎

一般には、原因があってから短時間のうちに、食欲不振、吐き気、嘔吐、上腹部の痛みまたはもたれ感などの症状を生じてくるのが特徴です。

(2)機能性ディスペプシア

胃の痛みや胃もたれなどのさまざまな症状が慢性的に続いているにもかかわらず、内視鏡検査などを行っても、胃潰瘍・十二指腸潰瘍や胃がんなどのような異常がみつからない病気です。

(3)胃・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬、胃酸などによって胃や十二指腸の粘膜が傷つけられ、粘膜や組織の一部がなくなる病気です。

上腹部の痛みや胸やけ、膨満感などの症状が起こります。

(4)急性膵炎

急性膵炎は、いろいろな原因で活性化された膵酵素(すいこうそ)によって自分の膵臓が消化されてしまい、膵臓やその他の主要な臓器に炎症と障害が引き起こされる病気です。

Doctor talking to his female senior patient

4)みぞおちの痛みへ自宅で実践できる5つの対処方法

(1)自律神経を乱さないよう、規則正しい生活をする

(2)暴飲暴食をしない

(3)胃腸の働きを良くする食べ物を取る

(4)ストレッチ、ウォーキングなど、適度な運動をする

(5)原因が分かっている場合は原因を取り除き、症状に合わせて薬を飲む

5)みぞおちの痛みが続く場合にすべき4つの検査方法

一般にみぞおちが痛む場合、胃腸科・内科を受診します。保険が適用されますし、超音波検査なので当日帰宅できます。

超音波検査で何らかの疾患が発見された場合は胃カメラや大腸カメラの検査に進みます。

(1)超音波検査 1日完結

超音波検査は、超音波を発生・送信するブローブと呼ばれる装置で、体をなぞるだけの簡単な検査になります。もちろん痛みや危険性もなく、空腹時であればすぐに検査が受けられ、時間も通常5分程度と短時間で済みます。

費用 

健康保険で3割負担の方の場合  2,000円前後

(2)胃内視鏡(胃カメラ)1日完結

胃カメラ検査は食道、胃、十二指腸を直接カメラで観察するため、胃癌・食道癌の早期発見や逆流性食道炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリ菌感染の診断が可能な検査です。

胃内視鏡により、それらの病気の正確な診断、治療が行えます。

経口内視鏡検査(経口挿入)と検経鼻内視鏡査(経鼻挿入)のどちらかを選択することができます。

経口内視鏡検査(経口挿入)

口または鼻から内視鏡を挿入し、これらの部位を一連の検査で観察します。昔から「胃カメラ」と言われてきたものです。

経鼻内視鏡査(経鼻挿入)

鼻から細径内視鏡を挿入して、上部消化管内視鏡検査を行います。検査中の苦痛、嘔吐反射が少なく、楽な検査とされています。

費用は約6,000円~13,000円です。

(3)大腸内視鏡(大腸カメラ)1日完結

大腸内視鏡は、便潜血検査で異常を指摘された方、腹部症状のある方が主に対象となる検査です。検査中に病変が発見された場合、腫瘍性のものや早期がんであれば、その場で切除をおこなうことも可能です。

検査と同時に治療(手術)することができる検査です。

検査前日

・午後9時以降食事を摂らないこと(水・お茶・ポカリスエットなどは大丈夫です)。

・就寝前にコップ1杯の水で下剤を2種類飲むこと。

検査当日

・検査当日は、午前9時頃に入院して頂き、経口腸管洗浄剤を飲んでいただきます。

・経口腸管洗浄剤は、マグコロールP・ニフレック・ビジクリア錠のいずれかを選択をすることができます。

費用は約7,500円~18,000円です。

※注意

胃カメラ、大腸カメラの場合、検査後にお薬を処方される場合がありますので、約15,000円程度かかる見込みです。

Patient hip hurts

6)みぞおちの痛みが続く場合にすべき5つの治療方法

(1)急性胃炎の場合

ステップ

胃腸科・消化器内科受診→検査→通院・もしくは入院

治療

原因が分かっている場合は原因を取り除き、症状に合わせて薬を飲みます。

薬を飲んでも胃粘膜は荒れていますので、水分をぬるま湯で補いながら、半日か11日は絶食します。

そしておかゆやうどんなどやわらかいものから食べるようにして、徐々に普通食に戻していきます。アルコールやコーヒー、カレー、唐辛子などの刺激物はしばらく控えます。

入院・費用

軽い胃潰瘍であれば、定期的な通院と投薬治療だけで完治する場合が多く、通院代も含めて薬代などに1~2万円かかります。

重症の場合、口から栄養を摂取できずに嘔吐を繰り返すなど、重症化した場合は入院し、点滴を受けることによって栄養を補う方法がとられます。

入院期間は、およそ2週間から1ヶ月程度になり、手術代やベッド代も含めておよそ20万円程度かかります。

※注意

健康保険で高額医療費はまかなうことができるので、年齢や収入に応じて異なりますが、全て自分で負担する必要は必ずしもありません。

(2)機能性ディスペプシアの場合

ステップ

消化器内科受診→検査→通院

治療

生活習慣を改めることによって、症状が良くなることは少なくありません。病気に影響するような生活習慣はできるだけ避けるような指導が行われます。

また、症状や原因に応じて、医師が次のような薬の中から適切な薬を処方します。消化管運動機能改善薬、酸分泌抑制薬、抗うつ薬、抗不安薬などです。

費用

定期的な通院と投薬治療だけで完治する場合が多く、通院代も含めて薬代などに1~2万円かかります。

(3)胃・十二指腸潰瘍の場合

ステップ

消化器内科受診→検査→通院もしくは入院

治療

胃・十二指腸潰瘍は、出血がある場合は「内視鏡的止血治療」が行われ、出血がない場合は「薬物療法」が行われます。これらの治療法と併せて、食事の注意や日常生活の改善が行われます。

出血がある場合には、内視鏡を使って出血部分に止血剤を注射したり、クリップをかけたり、レーザーで血管を焼く止血治療が行われます。

ピロリ菌の検査でピロリ菌が見つかれば、除菌治療を行います。

入院・費用

入院費用は通常、1日あたり約31,584円です。平均入院日数が17.5日なので552,720円となります。

これに手術が加わると、約8,414円加算されるので、約561,134円となります。

3割負担の場合では、費用が約9,475円(1日)×17.5日なので、約165,813円となります。

(4)急性膵炎の場合

ステップ

消化器内科受診→検査→通院もしくは入院

最初に「血液検査・尿検査」がありますが、膵臓に炎症が起こると、膵臓の消化酵素であるアミラーゼやトリプシン、リパーゼなどが血中や尿中に大量にあふれ出てくるからです。

血液や尿を調べ、これらの消化酵素の値が高いときには急性膵炎が疑われます。

治療

食物をとると消化酵素の分泌を促進するため、絶食絶飲です。軽症の場合には、絶飲・絶食を2、3日続けるだけで治ることもあります。

入院・費用

入院費用は通常、約38,605円(1日)です。入院期間を平均21.3日とすると、約822,287円となります。

これに手術が加わると約11,222円が加算されるので、約833,509円となります。

3割負担の場合だと、約11,582(1日)×21.3日なので、約246.697円となります。

7)みぞおちの痛みへ日常からできる4つの予防ポイント

(1)自律神経を乱さないよう規則正しい生活を

自律神経が乱れると、過剰に分泌された胃酸が胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、みぞおちの周辺に痛みを引き起こします。

散歩程度でも良いので、1日に1度は光を浴びる目的で外出するようにしましょう。

(2)暴飲暴食をしない

適量を超えた毎日のアルコールやタバコ、香辛料、果汁、炭酸飲料も胃酸の分泌を促進して胃や十二指腸の粘膜を傷つけ、痛みの原因になります。

よく噛んで、ゆっくり食べ、胃にやさしい食事を心がけましょう。

(3)胃腸の働きを良くする食べ物を摂取

食べ物や過度の飲食を控え、胃を落ち着かせる効果のあるものを食べることで、痛みを抑えることができる場合があります。

・大根、キャベツ、梅干し、納豆、漬物、味噌、ヨーグルトなど。

(4)ストレッチ・ウォーキングなど適度な運動を

有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、自転車こぎなど)、筋肉運動(屈伸、腹筋、腕立て伏せなど)のどちらにも、ストレス解消効果があります。

自分が続けやすい運動を定期的(週に3回~4回)に行うようにしましょう。






今回のまとめ

1)精神的なストレスによるみぞおちの痛みについては、ストレスを取り除くことにより痛みがなくなる。

2)暴飲暴食をせず、胃腸の働きを良くする食べ物を取り、規則正しい生活をし、適度な運動をする。

3)臓器の異常によるみぞおちの痛みについては、専門医を受診し、病気の早期発見と治療が肝要である。