夫婦の患者に説明をするナース

ストレスの多い現代、便秘や下痢などでおなかが痛くなることはよくあることですね。でも、明らかにそれとは異なる腹痛の場合、心配になってしまいますよね。

今回は、特に右腹が痛いケースについて、その原因や病気の可能性、予防のポイントについてお伝えします。






右腹が痛い7つの原因!考えられる病気の可能性


1)右腹が痛い場合の3つの代表的症状

腹痛はその発生の仕方により、次の3つに分類されます。

(1)内臓痛

臓器自体の伸び縮みによっておこる痛みで、周期性があります。強い内臓痛では嘔吐したり顔面蒼白になることもあります。

右腹が痛くなる病気では十二指腸潰瘍、胆嚢・胆管炎などがあります。

(2)体性通

腹膜や腸間膜が引っ張られたり、ねじれたり、胃や腸に穴が開いて消化液が漏れたりすることによって引き起こされる持続的な、突き刺すような鋭い痛みです。

右腹痛を引き起こす代表的なものには急性虫垂炎があります。

(3)関連痛

内臓痛が強くなると、その内臓に関連する皮膚領域の痛みとして感じることが多くなります。関連痛は一部分だけの明確な痛みとして感じられ、臓器によってその発生部位はほぼ決まっています。

例えば、胆道系の疾患では右の肩甲骨に痛みを感じます。実際にはこれらの痛みが組み合わさって起こる場合もあります。

2)右腹が痛い7大原因・考えられる病気

右腹痛の中で上部が痛む場合、胆嚢と肝臓の病気をまず疑いましょう。主な疾患としては次の3つがあります。

(1) 急性胆嚢炎

多くの場合、胆石が胆管を塞いで胆汁の流れを妨げることで発生します。6時間以上、激しい上腹痛が続き、発熱や吐き気も生じます。

(2) 十二指腸潰瘍

ピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬などによって、十二指腸の粘膜が傷つけられ、粘膜や組織の一部がなくなる病気です。上腹部の痛みや胸やけ、膨満感などの症状が起こります。

(3) 肝臓がん

肝臓は沈黙の臓器と言われ、初期の段階ではほとんど自覚症状はありません。しかし、腫瘍が大きくなると右上腹部に鈍い痛みを感じる人が多いようです。

また、肝臓がんの一部が破裂して出血する場合があり、激しい腹痛をともないます。右下腹部が痛む場合は、次の疾患を疑いましょう。

(4) 急性虫垂炎

まず痛みがみぞおち付近に出て、時間が経つにつれて右下腹部へ移動していくことが多いです。その他、食欲不振、吐き気、発熱をともなうことがあります。

(5) 上行結腸憩室炎

大腸の中で袋状に飛び出した箇所(憩室)に便が滞留し、細菌が繁殖して炎症を起こします。通常は発熱を伴います。痛む場所が虫垂炎と近いので、区別が難しいと言われています。

(6) 尿管結石

腎臓で作られた結石が尿管につまり、尿が腎臓へ逆流することで腎臓が膨らみ、背中からわき腹にかけて、七転八倒するような激しい痛みを生じます。痛みは2~3時間程度続きます。

(7)クローン病

大腸に発生する原因不明の炎症で、虫垂炎と同様に右下腹部が痛むことが多いため、区別が難しいと言われています。その他、下痢、全身の倦怠感、食欲不振などの症状があります。

また、女性では卵巣や卵管の疾患も考えられます。

3)右腹が痛い場合に自宅で実践できる2つの対処方法

右腹が痛くなる場合、急性胆嚢炎、急性虫垂炎、尿路結石など、激しく痛む場合が多いので、直ちに受診することが望ましいです。只、以下の対処で痛みが軽減することもあります。

(1) 前屈姿勢をとる

ひざを抱えておなかの緊張をとり、身体を少し前屈すると痛みが軽減することがあります。また、身体を横にして安静にすることでも緩和される症状があります。

(2) こまめに水分をとる

十二指腸潰瘍の場合、胃酸過多による痛みですので、水を飲むことで胃酸が薄まり、痛みが軽減されます。また、発熱している場合は、脱水症状になりやすいので、気をつけて水分を摂りましょう。

Doctor and surgeon looking at a computer

4)右腹が痛い場合に注意すべき3つの食事のポイント

右腹痛を引き起こす疾患には急性虫垂炎、クローン病など原因不明のものもありますが、食事に気をつけることで改善されるものもあります。

(1)糖質を控える

糖質を過剰に摂取すると急激に血糖値が上がり、活性酸素が大量に発生して、体内で多くの炎症を引き起こします。

右腹痛を引き起こす疾患には炎症系のものが多いため、糖質を抑えることで症状は改善されます。また、がん細胞の唯一の栄養源である糖質を減らすことで、がんの進行を抑制することができます。

(2)食事の量は控えめに

糖質量を控え、食事を少なめにすることで、ケトン体の量を増やすことができます。

ケトン体は体内の炎症を抑制し、ストレスに対する抵抗力を高め、がんを抑える働きがあります。中鎖脂肪酸の摂取も推奨されます。

(3)食物繊維を摂取する

大腸憩室炎を防ぐためには、便秘にならないことが重要です。食物繊維を摂取することで、便のカサが増え、大腸のぜんどう運動が促進されて便秘になり難くなります。

5)右腹が痛い場合にすべき4つの検査方法

右腹が痛い場合でも疑われる疾患により、検査方法は異なります。しかし、多くの疾患に共通している検査は以下の4つです。

(1) 超音波検査

急性胆嚢炎、肝臓がん、急性虫垂炎、尿路結石

(2) CT

肝臓がん、急性虫垂炎、尿路結石

(3) 内視鏡検査

十二指腸潰瘍、上行結腸憩室炎、クローン病

(4) 血液検査

肝臓がん、急性虫垂炎、クローン病

右腹が痛い場合でも様々な病気の可能性がありますので、救急の場合を除いては内科を受診するのがよいでしょう。

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6)右腹が痛い場合にすべき2つの治療方法

疾患により当然のことながら治療法は異なりますが、多くの場合、投薬治療または(或いは必要に応じて)外科療法(手術)が必要になります。

(1) 投薬で治療可能な疾患

十二指腸潰瘍、上行結腸憩室炎、クローン病

(2) 手術が必要な疾患

急性胆嚢炎、肝臓がん、急性虫垂炎

(場合によって手術が必要)上行結腸憩室炎、クローン病

また、十二指腸潰瘍ではピロリ菌除菌術、尿管結石では、体外衝撃波結石破砕術、経尿道的尿管砕石術などの治療が行われます。

)右腹部の痛みへ日常からできる3つの予防ポイント

今回は腹痛の中でも右側が痛むものだけに限って見てきましたが、それだけでも多くの病気の可能性があることがわかりました。

しかし、これらは代表的なものだけであり、実際にはもっと多くの疾患が存在しますので、医師であっても的確な診断をするのは極めて難しいと言えるでしょう。

また、その治療も臓器を切除したり、体に大きな負担がかかるものも少なくありません。

これに対し、これらの疾患の予防法はとてもシンプルです。痛い思いをする前に、普段から出来ることを心がけましょう。

(1) ストレスを避ける

仕事や人間関係でストレスを抱えてしまうことは良くあると思います。只、仕事も人付き合いも「生きるため」の行為であることを忘れないようにしましょう。

それらが間接的或いは直接的に「病気」や「死」につながってしまっては本末転倒です。たとえ仕事であっても、無理はしないようにしましょう。

体がストレスを感じると、活性酸素が大量に発生し、体内に炎症が起こります。これらの炎症が様々な臓器の疾患の背景にあると考えられます。

(2) 糖質を控える

「ごはん」という言葉の通り、日本人にとって糖質(炭水化物)と食事は切っても切れない関係になっています。

しかし、前述の通り、糖質の多い食事は急激に血糖値を高め、活性酸素を発生させることによって、体内の酸化ストレス(生体の酸化反応と、抗酸化反応のバランスが崩れ、前者に傾き、生体にとって好ましくない状態)が高まります。

その結果、様々な臓器で炎症が引き起こされます。主食を控えて、たんぱく質、脂質を中心にした食事をこころがけましょう。

(3) 口腔ケアに気をつける

内臓の疾患予防に口腔ケアとは意外かも知れません。

しかし、近年、口腔内の細菌(虫歯菌、歯周病菌など)が血管を通って体内の別の場所で炎症を引き起こす「歯原性菌血症」が注目されています。

この病気が内臓疾患の一因になっていることも考えられますので、年に1度は歯医者さんに行って、虫歯、歯周病のチェックをしてもらいましょう。

また、糖質が虫歯菌、歯周病菌のえさであることを肝に銘じましょう。






今回のまとめ

1) 右腹痛は発生の仕方により3つに分類されます。

2) 右腹痛は上部と下部で対象となる臓器が異なります。

3) 右腹痛で激しく痛む場合以外は、自宅で痛みを軽減することも可能です。

4) 右腹痛の炎症を引き起こす糖質を控え、炎症を抑制するケトン体を活用しましょう。

5) 右腹痛の場合、主に4つの検査方法があります。

6) 右腹痛の治療は大きく、投薬治療と手術の2つにわかれます。

7) 右腹痛の治療に比べ、予防はとてもシンプルです。普段から気をつけましょう。