右脇腹には内臓が多く集まり、マラソンや運動で一時的に痛むのとは違い、持続した痛みや激痛は何らかの内臓疾患の可能性が高いです。今回は右脇腹が痛い症状・原因・治療方法・予防のポイントなどをお伝えします。
目次
右脇腹が痛い・・!考えられる11の原因と病気のリスク
1)原因をチェックしよう!脇腹が痛い場合に考えられる11の原因
(1)便秘
(2)過度の飲酒
(3)過度の喫煙
(4)高たんぱく・高カロリー・高脂肪の食事
(5)暴飲暴食
(6)水分不足
(7)運動不足
(8)睡眠不足
(9)ストレス
(10)肥満
(11)高血圧
ほとんどの病気は、偏った食事、運動・睡眠不足、過度の飲酒・喫煙による生活習慣病に始まり肥満、脂質異常、高血圧、動脈硬化、糖尿病を引き起こし、さらに進むと生命に関わるがんなどの病気になります。
2)症状が続く場合には?可能性のある8種類の病気とは
(1)胆石症
肝臓で作られる黄褐色の胆汁は脂肪の消化吸収を助ける役割がありますが、脂肪のとりすぎなどによってコレステロールなどが固まり石ができ胆のうや胆管に石が詰まる状態です。右脇腹からみぞおちにかけて差し込むような痛みがあります。
(2)胆嚢炎
胆石によって胆のう壁の粘膜が傷つき、そこから細菌などに感染すると胆のうが炎症を起こします。右脇腹から痛みがあり背中や肩に広がっていきます。高熱、吐き気、嘔吐、黄疸とともに症状があらわれてきます。
(3)尿路結石
尿は腎臓で作られ一時的に膀胱に貯め、腎臓から膀胱までを尿路と呼び、腎臓から膀胱までつなぐ尿管や尿道、腎臓内や膀胱内に結石がある状態です。結石の成分はシュウ酸カルシウム結石で脂肪のとりすぎなどが原因とされ、脇腹などにかなり激しい痛みがあり血尿を伴う場合があります。食生活を変えないと再発の可能性が高くなります。
(4)慢性便秘症
便がたまることによってガスが発生し、そのガスが充満して腸内を圧迫するため右脇腹などが痛む症状があらわれます。
(5)急性肝炎
肝臓がウィルスによって感染し炎症を起こす状態です。感染経路は水、食物、体液、輸血で今のところ確認されている5種類のウィルスによって風邪に似た症状に始まり黄疸や茶褐色の尿が出るなど、他には吐き気、嘔吐、食欲不振、右脇腹の痛みなどの症状があらわれてきます。
(6)肝硬変
肝臓には約2000種異常の酵素がありその働きは主に3つで、㈰脂肪の消化・吸収を助ける胆汁を作る、㈪入ってきた食物の栄養素を別の成分に変え蓄え分解しエネルギーに変える、㈫体内に入った毒を分解、殺菌し尿に排出する役割を担っています。肝硬変は肝臓が硬くなる疾患でウィルス、過度の飲酒、肥満などの原因で起こるとされています。肝臓がんへ進む可能性もあるので早期発見・早期治療が重要です。右脇腹の痛みの他、食欲不振、倦怠感、疲労、日焼けではないのに肌が黒くなる、男性の場合、乳房が大きくなる、クモ状血管腫などの症状があらわれます。
(7)腎臓がん
腎臓の役割は水分や血圧のバランスを調整し、老廃物や余分な水分を排出するための尿やホルモンなどもを作ります。原因についてはまだよくわかっていません。症状としては、血尿、お腹のしこり(腫瘍)の症状があり脇腹の痛みもともないます。他に食欲不振、発熱、倦怠感、体重の減少、貧血などがあります。
(8)肝臓がん
肝硬変や慢性肝炎のある人に多いとされています。右脇腹の痛みの他に食欲不振、倦怠感、疲れやすい、お腹の張り、発熱、黄疸、腹水、濃い尿の色などがあり、肝臓に最初からできる原発性肝臓がんと他から転移してきた転移性肝臓がんあります。
3)応急処置はある?痛みへの対処方法とは?
便秘でガスが溜まって右脇腹が痛いときの対処法です。
(1)お腹のマッサージ
・仰向けに寝てひざを曲げます。
・右側の骨盤の上から押していき、順番にその上の右側の肋骨の下、左側の肋骨の下、左側の骨盤の上、膀胱の上と
ゆっくりと腹式呼吸をしながら一周して押していきます。これを数回繰り返します。
(2)足をバタバタさせる
・うつぶせになります。
・両足のかかとで足を交互にお尻をトントンと軽くたたくようにバタバタさせます。
(3)長時間・長期間痛みが続くようでしたら早めに専門医に受診します。
4)痛みが続いたら受診を!試したい検査の種類とは?
消化器肝臓内科、泌尿器科などを受診します。
(1)血液検査
数値が基準値よりも高かったり、逆に低かったりしたときの数値を確認し他の検査と合わせて総合的に判断されます。
(2)検尿
老廃物である尿の成分を調べます。主にたんぱく、糖、ウロビリノーゲン、ビリルビン、潜血、ケトンなどいくつかの成分や量を調べます。
(3)腹部超音波検査
検査台に仰向けや横向きになって、腹部に検査用のゼリーを塗り、プローブを腹部に押し当て超音波で臓器の断面層の画像をモニターで観察していきます。胃カメラでは発見できない、胃意外の肝臓、胆のう、腎臓、膵臓などの腫瘍、ポリープ、炎症などがわかり、肝臓がんや胆石の早期発見にもつながります。当日は朝食を摂らずに検査します。
(4)腹部X線検査
X線を照射しフィルムに撮影する検査方法です。主に腹部では食道、胃、小腸、大腸などの消化器や、膀胱などをが対象になります。
(5)腹部MRI検査
強い磁場のトンネル状の中に身体を入れ電磁波を当てて検査します。検査中はかなりの大きな音がしますので耳栓をします。検査台に寝て、指示に従い息を止めたり吸ったりを繰り返します。造影剤は検査内容によって投与する場合があるので承諾の有無が必要となります。検査当日の食事や水分は午前、午後の検査によって担当医から指示がありますので、そちらに従います。検査できない方は心臓ペースメーカーを入れている、人口内耳、中耳を装着、妊娠もしくは妊娠の可能性のある方、入れ墨、ネイルアートなど、これ以外にもいくつかありますので必ず担当医に確認が必要です。
(6)MRCP検査
MRCP検査はMRIを用いて、造影剤を投与せず、特に胆道膵管の胆汁や膵液を強調して検査する方法です。指示に従い息を止めたり吸ったりを繰り返します。膵臓がん、胆管がんなどの早期発見が期待できます。
(7)腹部CT検査
X線を照射し腹部の断面図を撮影しコンピューターで処理します。腹部CT検査には、単純CT撮影と造影CT撮影、ダイナミックCTがあり、必要に応じて組み合わせて検査します。造影CT撮影はヨード造影剤を静脈から注射して撮影をし、ヨード造影剤を使用せずに撮影する方法が単純CT撮影です。貴金属をはずし検査服に着替え、検査台に仰向けに寝て呼吸を止め検査します。検査当日の食事や水分は午前、午後の検査によって担当医から指示がありますので、そちらに従います。
5)どんな治療がある?行われる可能性のある治療方法
消化器内科、腎泌尿器外科を受診します。
(1)食事療法
胆石症、胆嚢炎、尿路結石などは脂肪の多い食品を控えバランスのとれた食事改善をしていきます。
(2)薬物療法
抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりします。胆石症、胆嚢炎、尿路結石などは石を溶かしたり石ができにくくする薬を服用し場合によっては胆のう摘出手術を行うこともあります。
(3)放射線療法
放射線を集中的に照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。
(4)外科手術
がん細胞や悪性腫瘍の周辺の組織など切除します。
6)生活から改善を!予防のためにチェックしたい5つのポイント
(1)規則正しい生活を送る
(2)適度な有酸素運動をする
(3)高脂肪・高たんぱく・高カロリーの食品を控えバランスのとれた食事にする
(4)過度の飲酒は控える
(5)便秘の解消
今回のまとめ
1)原因をチェックしよう!脇腹が痛い場合に考えられる11の原因
2)症状が続く場合には?可能性のある8種類の病気とは
3)応急処置はある?痛みへの対処方法とは?
4)痛みが続いたら受診を!試したい検査の種類とは?
5)どんな治療がある?行われる可能性のある治療方法
6)生活から改善を!予防のためにチェックしたい5つのポイント