患者の問診をするドクター

突然、襲ってくる下腹部の痛みを予測することはなかなか難しいことです。急に痛みを感じた時には、どのようにしたらいいのでしょうか。

今回は下腹部痛の原因や考えられる病気の可能性、対処方法や予防のポイントをお伝えします。






下腹部痛の3大原因!病気の11種類の可能性


1)下腹部痛の右側・左側の違い

(1)左側の下腹部痛

下腹部の左側に痛みがある場合、腸炎・食中毒・潰瘍性大腸炎・過敏性腸症候群・大腸憩室症・大腸がんが考えられます。

(2)右側の下腹部痛

右側に痛みがある場合には、虫垂炎(盲腸)が最も有名です。また、女性の場合には、卵管炎など女性特有の病気が考えられます。

2)下腹部痛の5つの症状

下腹部の痛みは放置しておいても自然に治る場合もありますが、診断が遅れると命にかかわるような危険な病気が隠れていることもあります。

(1)チクチクとした鋭い痛み

(2)押されるような鈍い痛み

(3)急激におこる痛み

(4)慢性的に持続している痛み

(5)痛みに波がある

排便やお腹を温めるなどの対処をして改善される場合には良いですが、それでも改善されない・もっと痛みがひどくなった場合には、かかりつけの病院などへ受診することが必要です。

3)下腹部痛の3大原因

(1)内臓痛

胃、腸、尿管、胆のうなどの「管腔臓器」が無理やり伸びたり、強く縮んだりした時に起こる痛みです。きりきりとうずくような痛みが一定の時間をおいて繰り返し起こるのが特徴で、疝痛と呼ばれます。

(2)体性痛

体性痛は突き刺すように鋭く、内臓痛より強い痛みが長く30分以上続くのが特徴です。痛む場所ははっきりしていて、炎症を起こしている場所を押すと強く痛みます。体を動かすことで痛みが増すことが多いです。特に、歩くとひびくことがあります。また、体性痛は自然に治まらず、手術が必要になることもあります。

(3)関連痛

関連痛は炎症を起こしている部分の刺激があまりにも強いときに、隣接する神経線維を刺激することによって別の部位に起こる痛みです。

腹部以外にも生じることがあり、放散痛と呼ばれています。痛みの原因となる臓器によって、関連痛の場所がある程度決まっています。

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4)下腹部痛が続く場合に考えられる11の病気

(1)腸閉塞・腸捻転

腸が閉塞してしまい、腸内が狭くなったり詰まることで消化物が溜まってしまう病気が腸閉塞です。腸閉塞の原因は生まれつきである場合、腸の癒着や脱腸が引き金で起こる場合があります。

腸捻転は腸閉塞の一種で、生まれつきや腸の癒着により腸がねじれてしまい、腸の通過障害を起こす病気です。

(2)尿路結石

尿の中でシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどが結晶化し、結晶が大きくなり結石となってしまいます。

腎臓・尿管・膀胱・尿道のどこかにでき、血尿や下腹部の激痛などの症状がおこりますが、中には症状が出ない場合もあるようです。

(3)膀胱炎

大腸菌など細菌の感染が原因で起こる病気です。頻尿、残尿感、排尿時の痛み、膿尿、血尿などの症状がありますが、悪化するまであまり症状を気にすることがなく放置されがちです。

さらに悪化すると、尿管炎や腎盂腎炎といった病気を発症することもあり危険です。

(4)腹膜炎

急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分類され、急性腹膜炎の多くはさまざまな消化器疾患の合併症として起こります。また、慢性腹膜炎の場合には、ほとんどが結核性腹膜炎で結核菌の腹膜への感染で発病します。

(5)腸炎

ウイルス性腸炎や細菌性腸炎、薬剤性腸炎などによって小腸や大腸に炎症がおきた状態のことをいいます。暴飲暴食や風邪など原因は多岐に渡ります。

症状の腹痛も、弱い痛みのものから差し込むような強く激しい痛みまで人によって違います。

(6)食中毒

細菌・ウイルス・原虫・化学物質・自然有害物質などが原因で、季節に関係なく起こるのが食中毒です。

急激な腹痛や吐き気を伴うのが特徴で、症状が重い場合には、発熱や全身の倦怠感、血便などが起る場合もあります。

(7)潰瘍性大腸菌

大腸の表面の粘膜に炎症が起き、粘膜がただれてびらんや潰瘍ができてしまった状態のことをいいます。

自己免疫異常により発生するといわれており、自分で大腸粘膜を攻撃し炎症を起こすと考えられています。

(8)過敏性腸症候群

腸には特に異常がないのに、腹痛や腹部の張り、下痢や便秘などの症状が出る病気です。

消化管運動以上・消化管知覚過敏・心理的異常の3つの原因が関わっていると考えられているようです。

(9)大腸憩室症

大腸内の憩室という粘膜が外側に袋のように膨らんだものがたくさんできる病気です。歳をとることによって、大腸内の圧力が高まり腸管壁が脆弱することが原因と考えられています。

(10)大腸がん

初期症状がほとんどなく早期発見が難しいがんで、腹痛などの自覚症状が出るころには病状が進んでいることが多く、いわゆる進行がんです。

早期発見するためには、定期的に大腸がん検診を受ける以外対処策はありません。

(11)虫垂炎(盲腸)

虫垂に化膿性の炎症が起こる病気です。虫垂は、盲腸の先に突き出た突起物です。

虫垂炎を、「盲腸(炎)」と言ったりしますが、これは昔、虫垂炎の発見が遅れ、炎症が盲腸まで広がった状態で発見されるケースが多かったためのようです。

虫垂の内圧が上昇して血行が悪くなり、細菌が侵入して感染し急性の炎症が起こると考えられています。

5)下腹部痛へ自宅で実践できる3つの対処方法

(1)ひざを抱えておなかの緊張をとり、身体を少し前屈する姿勢をとる

(2)身体を横にして安静にする

(3)おなかを温める。ただし、炎症(特に熱が出ている場合)には逆効果になる場合もあります。

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6)下腹部痛が続く場合にすべき8つの検査方法

(1)検尿

(2)血液検査

(3)腹部超音波検査

(4)腹部レントゲン

(5)検便

(6)胃内視鏡検査

(7)大腸内視鏡検査

(8)腹部CT

検尿・血液検査・腹部超音波検査・腹部レントゲンは、初診時に一般診療所で即座に検査ができます。場合によって、胃内視鏡検査・大腸内視鏡検査・腹部CTを組み合わせて、原因を究明していきます。

7)下腹部痛が続く場合にすべき3つの治療方法

(1)薬物療法

抗生物質など症状に合わせた薬剤で治療します。

(2)手術療法

腸閉塞・腸捻転、尿路結石、虫垂炎など症状によっては手術が必要になる病気もあります。

(3)物理療法

お腹を温めるなどで、下腹部痛が改善される場合もあります。

8)下腹部痛へ日常からできる7つの予防ポイント

(1)暴飲暴食を避ける

(2)お腹を冷やさないようにする

(3)質の良い睡眠をとる

(4)肉や貝類など調理するときには十分に加熱する

(5)調理器具は清潔にする

(6)手洗い・うがいをまめにする

(7)ストレスや疲れを溜めないようにする






今回のまとめ

1)下腹部痛の右側・左側の違いとは

2)下腹部痛の初期・中期・末期の5つの症状

3)下腹部痛の3大原因

4)下腹部痛が続く場合に考えられる11の病気

5)下腹部痛へ自宅で実践できる3つの対処方法

6)下腹部痛が続く場合にすべき8つの検査方法

7)下腹部痛が続く場合にすべき3つの治療方法

8)下腹部痛へ日常からできる7つの予防ポイント