パソコンを確認し合うドクターとナース

「お腹が下る」というちょっとしたことのようですが、日常生活への支障はかなり大きいもの。外出が不安になったり、原因が気にかかります。下痢と軽く考えずに、しっかり症状を観察して、賢い対処をしましょう。

今回は下痢が続く原因や考えられる病気の可能性、治療方法などお伝えします。






下痢が続く3大原因!3つの病気の可能性とは


1)下痢の見分け方の2つのポイント

単なる腹下しなのか、それとも病院で検査を受けたほうがいいのか、ポイントは2つです。これをしっかり押さえれば、あわてることはありません。

すぐに下剤を飲んで無理に下痢をとめることだけは、避けたほうが賢明と言えます。

(1)2・3日で止まる下痢 

水のような便が出て、発熱や腹痛も伴うかもしれません。しかし、2,3日で、だんだん収まっていくようなら、突発性の胃腸障害と考えられます。原因はいろいろありますが、後述します。

(2)何日も続く下痢

下痢が何日も続き、発熱や腹痛も止まないなら、医療機関へ行く必要のある下痢です。とくに血が出ていたり便の色が黒っぼかったりしたら、すぐに病院へ行きましょう。

2)下痢が続く3大原因 

一口に「下痢」といっても、原因はさまざまです。それによって対処も異なります。大きくは内的要因と外的要因があります。

思い当たることがあるかどうか、しっかり考えて、それに合った適切な対処をしたいものですね。

(1)外的要因 

毒物や細菌、ウィルスが体内に侵入し、それを排除するために、防御反として引き起こされる下痢。例えば食事に細菌が附いていた、あるいはインフルエンザウィルスが胃腸まで達した、さらにはノロウィルスの感染などです。

これは、原因物質を取り除かない限り続きます。

こうした感染物質については、社会的問題ですから、広く注意喚起がなされます。したがって気づきやすいでしょう。ただ、家族にまで広がる心配もありますので、対処は素早くしましょう。

(2)内的要因 

糖尿病や胃切除などの既往症がある場合。とくに胃切除をすると、ダンピング症候群になり、下痢が頻繁になる体質もあります。かかりつけの医師に相談してください。

また、ちょっとしたことで下痢になる体質的なものもあります。ストレスやお腹を冷やした、ちょっと変わったものを食べた、などです。

ただ、特定の食べ物に対してだけ下痢を起こすようなら、その食品へのアレルギーかもしれません。例えばエビフライや海老天で必ずお腹が下るなら、甲殻類アレルギーが考えられます。卵やグルテンアレルギーなど、人によって原因は違います。

(3)他の内臓疾患 

下痢が続き、症状が悪くなるようなら、内臓疾患が考えられます。また初期から吐き気や下血もある場合は、すぐに医療機関で診察を受けましょう。

3)下痢が続く初期・中期・後期のそれぞれの症状 

上記以外の下痢なら、それぞれの段階で症状が変化しますので、しっかり見極めてどの段階にあるのかを知り、それに合った対処をしましょう。

初期は絶対安静でも、後期にはそれなりの対応をしないと、回復が遅れる可能性があります。

(1)初期 

激しい下痢状態です。まるで水のように透明な便が出ます。発熱も伴うかもしれません。一日に何回も繰り返すことがあります。体力を使い果たすため、疲労感があります。

(2)中期

かなり排便回数は落ち着きます。痛みも薄らいできます。便も軟便というほどの固さになります。色も薄黄色になります。

しかし、まだ体力の回復感はありません。食欲もさほど戻りません。

(3)後期

ほぼ、回数も腹痛も平常と変わりません。平常な便に、ときどき軟便が混じることもありますが、色も褐色系になります。

体力も回復します。食欲は、健康時と変わらず出てきます。

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4)下痢が続く場合の家庭でできる3つの解消法

上記した内臓疾患が疑われる場合はすぐに病院へ行くとして、暴飲暴食など日常生活が原因の場合は、ひとまずできることをやって様子を見ましょう。

段階を踏んで対処することで、改善することも期待できます。

(1)まず安静 

ともかく胃腸と体を安静にすることです。体力を温存し胃腸を休めること。仕事なんてもってのほか、と言いたいところですが、そうもいきませんね。

ただ下痢止めの服用だけはしないこと。そして外食は控えましょう。飲酒喫煙もアウトです。

(2)水分・栄養補給 

水分の不足はかなりのものになります。温めた麦茶なりほうじ茶を、数回に分けて飲んで下さい。栄養ドリンクは避けましょう。胃腸に負担がかかります。

また栄養も補給しなくてはなりません。おかゆか、トロトロに煮た野菜スープを少量ずつ摂ってください。野菜は水溶性の野菜です。

イモ類などは不溶性ですから腸を刺激して下痢を激しくしてしまいます。葛湯もいいものです。塩分の補給も必要ですが、おかゆに梅干し、あるいは野菜スープなら、それだけで十分です。

(3)睡眠

胃腸と体力回復のためにも、睡眠は大切。でも下痢の繰り返しのときは、不安で寝つけません。そんな時には、入浴で体を温めましょう。

発熱時にはフットバスだけでも、血行がよくなります。中期ごろからは、積極的に入浴を心がけましょう。

また枕元にオレンジエッセンスを香らせると、脳が休まります。レモンはかえって脳を元気にしますから、間違えないでください。

夜中の突然の下痢が気になるときは、おむつをしてもいいでしょう。いま薄くて漏れない、いいおむつが市販されていますから、非常事態に備えておくと安心です。

5)下痢に効果的な3つのツボ

以外と知られていませんが、下痢には東洋医学処方がよく効く、と言われます。昔から人が下痢に悩まされて、解決方法を探っていたのでしょうね。

専門家を訪ねるのも大事ですから、まず、自分でできるツボ押しを試してください。

(1)膏兪(こうゆ) 

おへその真横。指一本分外側に、押さえると腸全体に響くところがあります。ここを軽く押しましよう。あまり強く押さないように注意してください。

(2)合谷(ごうこく) 

手の甲の、親指と人差し指の付け根。骨の上なのでなかなかツボがわかりにくいですが、強く何度も押してみましょう。

(3)三里(さんり) 

膝の指三本下、向う脛の外脇です。抑えると、足全体に刺激がくるところがツボです。強くゴリゴリ押しましょう。足が疲れたときにも、効果のあるツボです。  

6)下痢が続くことで考えられる3つの病気 

上の3)で述べたような外的要因や既往症、体質に心当たりがなければ、消化器系疾患が疑われます。すぐにでも医療機関に行って検査し、適切な処方を受けましょう。

そのうち、などと言っていると、どんどん進行していくこともありますから、急ぎましょう。

(1)大腸ポリープ・ガン 

大腸に知らず知らずポリープができていた、よく聞く話です。というのも、ポリープにはいろんな種類があって、中年以降になると突起物が腸壁に生じる老化現象のポリープは、ほぼすべての人にみられるからです。

問題なのは、腫瘍です。腫瘍も80%は良性、つまりガンではありません。しかし、これが原因で下痢をすることは、よくあります。

なにより、たとえ良性でも放置して大きくなるとガン化する可能性が高い、ということ。1センチ以上は危険ゾーンとされています。

さらに残り20%の悪性腫瘍、つまりガンです。ガンは、これから死因の第一位になるだろうと予測されているほど、日本人に発症しやすい疾患です。

良性かガンかは、一目見ただけでは判別できません。ガン化する過程によっても見分け方は難しくなります。患部を摘出して生検にかけて、初めて処置が決まります。

誰にでも、起こり得る疾病、ということができます。

(2)潰瘍性大腸炎・クローン病 

胃潰瘍のように、大腸壁の細胞がなんらかの原因で傷ついてしまうのが、潰瘍性大腸炎です。クローン病は、大腸ばかりでなく小腸や十二指腸にまで広がるやっかいな病気です。

いずれも激しい腹痛と下痢を繰り返します。下血も見られます。

(3)すい炎 

下痢に、吐き気や背中の痛みも加われば、すい炎が考えられます。急性の場合は、お腹より胃の痛みが自覚症状としてあるようです。油ものに強い吐き気を催すことも多いようです。

Male medicine doctor hand holding stethoscope head

7)下痢が続く場合の2つの検査方法

まずは問診と触診、血液検査や検便となります。ここでは2,3日「なにを食べたか」が問われますので、しっかり応えられるようにしましょう

ここで原因が特定される場合がほとんどです。わからないと、下記になります。

(1)内視鏡検査

ポリープと大腸炎・クローン病が疑われると、内視鏡検査になります。すい炎はCTと血液検査が主です。

下痢があるにも関わらず検査するのは苦痛を伴いますが、やっておかなくては原因は特定できません。ぜひ早急にやって下さい。

病院によっては、入院させて適切な処置をしてから検査、という段取りの機関もあります。ただ、近年では検査器具がかなり小型化し、ラクになりました。それでもまる一日かかります。

また、女性で内視鏡を嫌がる人も多いことから、CTによる検査もすすめられるようになりました。

解析度が高く、内視鏡ほどではないにしても、異変を認めやすく進化してきたからです。これなら局部を出すこともなく、苦痛もありません。半日ほどで済むことが多いようです。

費用は、すい炎のCTと血液検査も同じく、保険適用で1万円程度の自己負担になります。いずれも胃腸科・消化器内科での受診になります。

(2)PET-CT

さらにガンに特化するなら、PET-CTがあります。どんな小さなガン細胞も見つけることのできるCT検査で、痛みも苦痛もありません。

ただ、費用が自己負担で10万円と高く、装置を備えている病院も全国的にみても多くありません。

8)下痢が続く場合の2つの治療法

ただの「下痢」といっても、さまざまな原因のあることが分かります。いわゆる外からの菌やウィルスによる腸の拒絶反応。

そして重篤な病気が引き金になっている場合。当然、治療も期間も、費用も違いが出てきます。それぞれに準備が必要ですね。

(1)投薬治療

菌やウィルスによる下痢、さらにすい炎は、ほぼ薬を飲む治療です。もちろん、コレラや赤痢菌など感染力が強く命にかかわる場合は隔離されますが、日本では、戦後あまり発症例はありません。

薬代は保険を使えば一回2000円ほどになります。

ただ潰瘍性大腸炎やクローン病の場合は、完全絶食が必要となるため、入院して栄養点滴を行います。期間は人それぞれですが、ひと月は見ておいて下さい。

高度医療限度額制度を使えば、治療費は5万円程度までの出費で済みますが、ベッド代など諸費用が掛かります。

(2)摘出手術

ポリープは、内視鏡検査の際に除去する、ということが多いようです。

しかし生検の結果、ガンと診断されたりCTでガン細胞が見つかったら、改めて摘出という手術になります。

と言っても腹腔鏡による手術がいまは主ですから、回復にもそんなに長い日数はかかりません。長くて2週間でしょう。

費用は、5万円程度ですが、入院にかかる別途の請求があります。

クローン病で再発を繰り返す場合は、腸を全摘出ということも、最悪の状態ではありえます。難病に指定されているほどの病気ですから、早期に治療し、いったん治っても油断し81ないことです。

9)下痢を未然に防ぐ3つのポイント

下痢の原因が口から入る場合と、自分の体にある場合が主ですから、そこを重点的に補強すればいいことになります。

食事、日常生活、そして腸内環境を整えること。これらは、日ごろからの心がけが大事ですよね。

(1)食事 

日ごろから自分の胃腸をいたわる食事をしてください。生肉など菌がいそうな食品は、火を通すこと。青魚にはアニサキスという寄生虫がいます。

蜂蜜にはボツリヌス菌がいて、幼児には危険です。食品の安全に慣れきってしまっている私たちにとって、落とし穴があちこちにあるのです。

「知らない土地の生水は呑むな」という諺もあるくらい、気を付けましょう。

また常に腸内環境を整える食事をすることも、意識したいものです。善玉菌を増やすために乳酸菌をたっぷり摂りましょう。

糠漬けや味噌、麹にも含まれています。日本食は、健康食の代表でもあるといわれます。特に外食中心の人は野菜もたっぷり摂って、腸の働きを助けてください。

(2)運動 

胃腸は常に動いているのに、私たちが気にするのは異変があってから。これでは遅すぎます。常日ごろから、胃腸を動かす運動をしましょう。

ウォーキング、お腹をひねる、腹筋など効果的です。こうすることで、便秘も解消されます。腰痛などの疾病のあるかたは、かかりつけのお医者様と相談してください。

(3)ストレスをためない 

大腸がんやクローン病などは、ストレスが原因ともいわれます。現代人にとってストレスがない生活は無理でしょう。

しかし、上手に気持ちを切り替えて、ストレスをため込まない生活を心がけましょう。ストレスで食べ過ぎ飲みすぎ、食事時間が不規則、睡眠不足。これでは胃腸どころか、心臓にも負担が来ます。

規則正しい生活リズムのためにも、ゆったり入浴してリラックスし、良質な睡眠をとること。朝からきちんと食事を摂ること。休息時間をとって運動や散歩で心と体をほぐすこと。

ストレス対策には一日40分モーツァルトを聴くとよい、という大学の研究成果もあります。CDも発売されています。ビタミンCもストレス因子を減らすそうです。

自分にあったリラックス法を見つけましょう。






今回のまとめ

1)下痢の状態をしっかり見分ける

2)下痢の原因を考える

3)下痢の症状を時系列変化でおさえる

4)下痢の自宅対処法をやってみる

5)下痢に効果的なツボを試す

6)下痢の裏にひそむ病気を知る

7)下痢疾患の検査方法と費用

8)下痢による重篤疾患の治療法と費用

9)下痢を防ぐ日ごろからの心がけ

突然の下痢、戸惑います。そんな時こそ、賢く適切な対処をしたいものです。そのための必要事項を、もう一度確認してみましょう。

いたずらに怖がらず、でも自分の体を過信することなく素早く行動して、また健康な日常生活を送りたいものです。