パソコンで資料を確認している女医

卵巣付近に痛みを感じて不安になる女性は多いと思います。卵巣の痛みには、左側が痛い、右側が痛い、というように個人差があります。なぜ卵巣に痛みを感じるのでしょうか。その原因は病気ではない器質性のものもあれば、病気が隠れている場合があります。 






左側の卵巣の痛みの原因とは?3大原因と病気の可能性


1)左右で違いはあるの?卵巣の痛みの特徴と違いとは 

基本的に、卵巣には「左側が痛いから○○の病気」「右側が痛むのは☓☓の病気」といったことはありません。 卵巣の痛みには、 キリキリする ・チクチクする ・鈍痛がある ・ズキンとする ・強く握られているような痛み ・冷たい塊があるような感覚 ・引きつるような痛みなどがあります。 痛みを常に感じている、定期的に感じる、ときおり感じる、など、症状の出方にも個人差があります。 また、左右の卵巣付近にある臓器はそれぞれ違います。 

(1)左側の卵巣付近の臓器 

大腸の中の「S状結腸」という腸があります。左腹部には下行結腸があり、肛門に続く直腸との間にS状結腸があります。「下行結腸→S状結腸→直腸→肛門」という具合になっており、S状結腸には緩いカーブがあります。 

(2)右側の卵巣付近の臓器 

大腸の中の上行結腸の入り口にあたる盲腸にぶら下がっている「虫垂」があります。炎症を起こすと一般的に「盲腸」と言われますが、正しい病名は「虫垂炎」です。まれに、これらの臓器の炎症を、卵巣の痛みだと思い違いしている場合があります。 

2)痛むのはなぜ?左側の卵巣の痛みの3大原因とは 

(1)左側の卵巣から排卵している 

通常、排卵は片方の卵巣で行われます。だからといって、毎月交互に排卵すると決まっているわけではなく、右→左→右となる場合もあれば、右→右→左となる場合もあります。排卵する時期はだいたい次回生理開始日の14日前と言われています。(個人差はあります)排卵日付近には卵巣が腫れる場合があるので、痛みを感じることがあります。また、卵胞の壁を突き破って卵子が1つ卵管へ飛び出す際に痛みを感じる場合もあります。そして、排卵した際に卵巣の壁が傷ついて出血する場合があり、その時に引きつるような軽い痛みを感じる人もいます。この工程が左側の卵巣で行われると、左卵巣に痛みがあらわれます。 

(2)左側卵巣に炎症がある 

左側の卵巣に腫瘍や嚢腫・嚢胞・癌などができていると、卵巣が腫れて痛みを感じます。また、その腫れた卵巣が大きくなって、卵巣の茎の部分が捻れる「茎捻転」になると、我慢できないほどの非常に強い痛みがあらわれます。 

(3)S状結腸の炎症 

S状結腸はカーブしているので便が詰まりやすい部位です。便秘でS状結腸に便が詰まっていたりその部位が炎症していると、左卵巣付近に痛みを感じます。 

3)応急処置はあるの?試してみたい対処方法とは 

(1)身体を温める 

冷えて血流が悪くなると、子宮や卵巣への血液循環が悪くなり、充分な栄養を取り入れられなくなります。足や腰が冷えていると、その部位を通過した血液は冷えてしまいます。そしてその冷たい血液が最初に通る臓器は子宮です。冷えは身体に悪影響を及ぼしますので、身体が冷えないように温めてください。 

・温かいお茶を飲む 

・足や腰にカイロを貼る 

・身体を温める食べ物を摂取する 

(2)安静にする 

痛みがある時は無理をせず、安静にしておくことが無難です。好きな本を読む・DVDを観るなどしてリラックスし、安静にします。 

(3)医療機関を受診する 

定期検診のつもりで検査を受けることも必要です。異常がなければ安心できますし、異常があれば早期治療に繋がります。 

4)これは何かの病気の前兆?病気かどうかの判断基準とは 

次のような症状を伴う場合は検査を受けるようにしましょう。 

痛みが酷い ・常に卵巣が痛い ・嘔吐や胃痛がある ・生理不順がある ・月経時の出血量が多い ・不正出血がある ・性交痛がある ・排便痛がある ・下腹部がぽっこり出ている ・お腹の上から触れても腫れがわかる ・オリモノの状態が今までと違う

上記の症状が見受けられる場合、何らかの疾患の可能性も考えられます。

枕を抱えてベッドに座っている女性

5)症状が続く場合は要注意・・考えられる4種類の病気とは 

(1)卵巣嚢腫・嚢胞 

・漿液性嚢胞

卵巣の中に袋状の嚢腫ができ、中には卵巣から分泌されるサラサラした液体が詰まっています。最も多く見られる腫瘍の一つです。 

・粘液性嚢胞

卵巣の中に袋状の嚢腫でき、中身はネバネバした粘液が詰まっています。成長すると直径10~30cmほどになることもあります。 

・チョコレート嚢胞

子宮内膜症が原因で発症し、卵巣に血液が溜まります。性交痛や排便痛を伴います。 

・皮様嚢腫

人の元になる細胞が卵胞内で成長し、卵巣内に髪・毛・爪などが詰まったドロドロの腫瘍です。 

(2)卵巣がん 

卵巣に発生する癌です。初期症状はほとんどなく、癌がある程度の大きさになってから下腹部に鈍痛があらわれます。その頃には、下腹部がポッコリと出る・食欲不振・不正出血・頻尿などがあらわれます。 

(3)境界悪性卵巣腫瘍 

 良性の腫瘍と卵巣がんの中間の状態です。摘出手術を行なえば予後は良いとされていますが、再発する可能性もあるので、定期的な検査が必要になります。 

(4)S状結腸の炎症 

・大腸憩室炎

S状結腸部分に力むなどの圧力がかかり、袋状の小さな憩室が腸壁の外側に突出します。 

・過敏性腸症候群

器質的に問題は見られず、便秘や下痢を繰り返す疾患です。便やガスがS状結腸に溜まったり、腸が蠕動する際に痛みを感じる場合があります。 

・がん

S状結腸にがんが発生します。下腹痛や血便・便が細くなるなどの症状があらわれます。 

6)気になる場合は専門家へ!症状への検査・治療方法 

卵巣の痛みを疑った場合は、産婦人科・婦人科専門病院を受診します。お産を主体としている産婦人科よりも、婦人科系疾患を専門に扱っている病院やレディースクリニックを受診するのが無難でしょう。 

(1)検査方法 

問診・触診・超音波検査・血液検査・尿検査などが行われます。卵巣嚢腫は、大きさや種類により3ヶ月ほどの様子見になる場合が多く見られます。病気を疑われた場合は、MRIやCT検査が行われ、詳しく観察します。 

(2)治療方法 

排卵痛の痛みが酷い場合、ピルの処方が行われる場合があります。その他の病気では、嚢腫の大きさによりピルなどのホルモン治療や漢方の処方で様子を見たり、手術が行われます。 

7)生活習慣を整えよう!左側の卵巣の痛みへの予防習慣とは 

(1)冷やさない 

女性は男性より筋肉の量が少ないので身体が冷えやすいと言われています。適度な運動で筋力をつけ、体温UPを心がけましょう。 

(2)栄養バランスのとれた食事 

甘いものや冷たいものは身体を冷やしてしまいます。身体を温める根野菜・生姜やにんにくなどをまめに取り入れて、栄養バランスが取れた食事を摂取しましょう。 

(3)規則正しい生活 

睡眠不足や過労・ストレスが溜まると自律神経が乱れしまい、冷え症になる場合があります。きちんと睡眠をとり上手くストレスを発散して体調を管理しましょう。 

(4)定期検診を受ける 

2年に1回は婦人科の定期検診を受けて、子宮や卵巣の状態を把握しておくことが大切です。






今回のまとめ 

1)左右で違いはあるの?卵巣の痛みの特徴と違いとは 

2)痛むのはなぜ?左側の卵巣の痛みの3大原因とは 

3)応急処置はあるの?試してみたい対処方法とは 

4)これは何かの病気の前兆?病気かどうかの判断基準とは 

5)症状が続く場合は要注意・・考えられる4種類の病気とは 

6)気になる場合は専門家へ!症状への検査・治療方法 

7)生活習慣を整えよう!左側の卵巣の痛みへの予防習慣とは