カルテで説明をする男性の医者

「胃が痛い」と違和感を覚えても、胃のどのあたりが痛むのか、どのような感じの痛みなのかによって、考えられることは様々です。ここでは、左のみぞおちの痛みについて、その原因・症状・病気の可能性・対処方法をお伝えします。






左のみぞおちの痛みは要注意?4つの病気のリスクと治療法


1)どうして痛くなるの?左のみぞおちの痛みの3大原因

「みぞおち」とは胃の上部にあたり、肋骨の一番下の下あたりになります。

(1)ストレスによる神経性胃炎

胃炎の中でも「みぞおちがチクチクと痛む」という症状であれば、ストレス起因が一般的です。胃の神経は感情とつながっており、ストレスを抱えると胃の神経に負担がかかってしまい、胃の痛みや重みを感じさせる一因になります。

(2)刺激の強い食べ物による胃の炎症

特にカレーのような香辛料の強いものをたくさん食べてしまうと、胃が刺激されてしまいます。また、アルコールをたくさん摂取した場合でも起こるようです。

(3)自律神経の乱れ

ストレス以外にも日常のささやかな変化に敏感なのが胃です。不規則な生活を送っていたり、夏場や冬場に多い室内と外の急激な温度差を体感したりと、どちらかというと体への負担が胃炎を引き起こします。

2)症状チェックを!痛みの初期・中期・後期の変化とは

(1)初期症状

チクチクとした、軽く胃を刺激するような痛みが特徴的です。「なんとなく痛い」という感覚から始まります。市販の胃薬を服用して様子を見る段階です。  

(2)中期症状

痛みの度合いがはっきりしてきます。みぞおちあたりを指先で押すと痛みがあります。これは「胃が炎症を起こして腫れている」ということになります。また、食べ物を飲み込もうとしても「胃が拒否しているかのように受け付けない」という症状もあります。「病院に行ったほうがいいかな」と思う頃であり、この段階で原因と適切な治療を受けるべきでしょう。

(3)後期症状

食べ物を飲み込んだだけで痛みが走ります。また、ひどい時には嘔吐の症状が現れます。冷や汗をかいたり、発熱を伴うようになると危険です。このような症状にならないうちに、我慢せずに病院へ行くことをお勧めします。

3)応急処置はある?痛みへ試したい対処方法とは

(1)足の裏、手の平のツボ押し

足や手には臓器につながるツボが点在しています。特に足の裏の「土踏まず」と呼ばれるあたりと、手のひらの親指の下の膨らんでいる部分近くには胃のツボがあります。そこを押して、痛みを感じると、胃が疲れているというサインになります。

(2)市販の胃薬の服用

胃のトラブルにも、胃酸の出過ぎや食べ過ぎなどの症状が様々あるように、胃薬もその症状に合わせたものがあります。ストレスの多い現代社会に合わせるように、ここ数年の間に市販の薬にもストレスからくる胃炎の緩和を促す薬が発売されています。もし、ストレス起因の自覚がある場合は、ストレス用の胃薬の服用をお勧めします。ただし、「薬が合わない」あるいは「飲んだ後に嘔吐してしまう」という場合は、病院で診察を受けて適切な胃薬を処方してもらう必要があります。

(3)温めて改善されない場合は病院へ

よく「胃のトラブルは、胃を温めることで緩和される」と認識されがちですが、逆にそれが痛みを増幅させる場合があります。炎症を起こしている器官や部位が熱を持っているためです。

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4)痛みが続く場合は注意!考えられる4つの病気とは

実際に痛むのはみぞおちであっても、実は少し離れた部位に炎症が起きている可能性があります。

(1)急性胃炎・神経性胃炎・胃潰瘍などの胃の疾患

代表的な胃のトラブルです。風邪によって生じるものや、ストレス性のものなど様々ですが、それらがひどくなると胃潰瘍になる恐れがあります。胃潰瘍とは、「ストレスやステロイドなどの刺激の強い薬物、胃酸の分泌の過多」などで胃の粘膜が傷つけられてしまうことで生じます。痛みが重苦しいものになってくると、要注意です。

(2)逆流性食道炎

主に胃の中の酸が食道へと上がってきてしまい、その酸が食道の粘膜を傷つけることによって起こります。いわゆる「胸焼け」と呼ばれる症状を持つ病気です。上記(1)のような胃の疾患を持つ方に表れやすい病気で、ちょうど食道と胃の境目辺りがみぞおちなので、みぞおちの痛みを伴うようになります。

(3)胆石症

飲食物の消化は肝臓から送られる「胆汁」によって助けられます。この胆汁が固まってしまうことで「胆石」となり、胆汁にかかわる「胆のう(胆汁をためておき、濃縮したり送り出したりする器官)」をはじめとする「胆管」などに炎症が起こります。この病気によるみぞおちの痛みは激しく、ひどい時には自力で立って歩けないほどになってしまいます。また、胆汁には色素が含まれているため、その異常は「黄疸(おうだん)」と呼ばれる「皮膚が黄色くなる」という症状をもたらします。発熱や嘔吐も現れる場合があります。

(4)膵炎

血糖値にかかわるインシュリンやアミラーゼなどの消化酵素を分泌させる器官ですが、上記(3)で起こる胆石症やアルコールの過剰摂取において膵臓も炎症を起こしてしまいます。この病気によって、特にみぞおちの左側が痛む傾向にあり、同時に背中の痛みも生じるようになります。膵臓の炎症は、その体内の位置的な問題から、深刻なものになってしまうと手術が難しいとされます。そのため、初期症状の段階で早めに病院で受診することをおすすめします。

5)先ずは専門家で受診を!行うべき検査方法とは

診療担当は内科もしくは消化器科になります。

(1)内視鏡検査(胃カメラ)・超音波検査(エコー)

胃のトラブルは内科、とくに消化器科の担当になります。特に胃の検査は、内視鏡や超音波による画像診断が必要です。内視鏡の場合は細いチューブを口もしくは鼻から通すため鎮痛剤の投与を、超音波の場合は超音波器具を充てるためのジェルの検査部位への塗布を行います。内視鏡の場合は、鎮痛剤の効き目と検査後の違和感によっては、検査後の休憩を含みます。よって所要時間は、内視鏡の場合は約1時間、超音波の場合は約30分程度となります。検査費用としては保険適用内で約5000円から6000円と見ておくとよいでしょう。

(2)血液検査

様々な病気が潜伏する可能性を探る方法として血液検査があります。みぞおちの痛みによって、どの器官に異常が発生しているのかを血中成分の分析によって知ることができます。注射器による採血なので、所要時間もわずかで済みます。費用は検査する成分によって異なりますが、多くて

(3)ピロリ菌検査

人によっては、胃の中に「ピロリ菌」と呼ばれる悪玉菌が存在することがあります。これは、主に井戸水のような浄水されていない水を飲用水や調理用水にしている(または、過去に行っていた)方に起こりやすい傾向です。このピロリ菌が胃炎や胃潰瘍を引き起こす原因にもなり、深刻な場合では胃がんの原因にもなります。胃カメラでピロリ菌の疑いが判明することが多いため、その場合はピロリ菌駆除のための除菌薬を病院から処方されます。胃カメラによる検査と投薬治療費を合わせると、保険適用内で約8000円になります。

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 6)どんな治療がある?病院で行われる可能性のある治療方法

(1)投薬・点滴治療

胃炎の場合は投薬治療がメインになります。膵炎の場合も同様ですが、この場合は消化酵素の分泌を抑えるために食事をせずに点滴治療を行います。

(2)胆石除去手術

原因の病気が胆石症であれば、消化器科で胆石を取り除く手術を行います。内視鏡を使って行うものなので、手術の傷が大きくつくことは、まず防げます。胆石が胆のうに詰まってしまっている場合は胆のうを除去することもあります。また、胆石を体外からの衝撃波を充てることで粉砕するという方法もあります。程度に応じて日帰り手術も可能です。入院が必要になる場合でも、回復が早ければ1週間以内で退院することができるでしょう。  費用としては保険適用内で約20万円程度になりますが、病院への確認が必要です。

7)日常から予防を!みぞおちの痛みへの3つの予防ポイント

(1)アルコールの過剰摂取を控える

やはり食生活は大切です。特に、左のみぞおちの痛みの原因が胆石症や膵炎の場合、肝臓が大元になっています。アルコールの分解がコントロール不能になってしまうと、様々な器官への悪影響を及ぼしてしまいます。

(2)刺激の強い食べ物・脂っこい食べ物を取りすぎない

刺激の強いものは食道や胃の粘膜を傷つけてしまいます。特に、風邪などで胃が弱っている場合に刺激物を入れてしまうと、ただでさえ弱っている胃の粘膜がさらに痛めつけられてしまいます。食べるにしても、体調と相談しながらにするとよいでしょう。また、脂っこいものは消化に非常に時間がかかります。消化に時間がかかるということは、それだけ胃酸が分泌され、胃の粘膜にとっては好ましくない状況になります。

(3)ストレスをためすぎない

上記(1)(2)は、ストレス解消方法の一つになってしまいがちです。しかし、体への負担は避けたいところです。体をいたわりながら、好きな音楽を聴きながらウォーキングしたり、好きな娯楽番組やDVDを見て思いっきり笑ったり、心と体に良いことでストレスを発散していきましょう。また、精神的なストレスだけではなく、急激な体感温度の変化に注意するなどの体へのストレスもケアが大切です。






今回のまとめ

1)どうして痛くなるの?左のみぞおちの痛みの3大原因

2)症状チェックを!痛みの初期・中期・後期の変化とは

3)応急処置はある?痛みへ試したい対処方法とは

4)痛みが続く場合は注意!考えられる4つの病気とは

5)先ずは専門家で受診を!行うべき検査方法とは

6)どんな治療がある?病院で行われる可能性のある治療方法

7)日常から予防を!みぞおちの痛みへの3つの予防ポイント